Dookie-Greenday

グリーン・デイはセカンド・アルバム『カープランク』をアメリカだけで5万枚売り上げ、1994年2月1日に『ドゥーキー』が店頭に並ぶ頃には既にカルト的な人気を獲得していた。しかし、揮発的なリフに乗せられた言葉や、パンキッシュな唸り声と強烈にポップなフックに満ちた次作は、メンバーであるビリー・ジョー・アームストロングやトレ・クール、マイク・ダーントの人生を変えただけでなく、パンクの道筋そのものを変えることとなった。グリーン・デイのやんちゃなサウンドとそのスタイルはチャートやカルチャー全体に影響を与えることになり、その楽しくて奔放な要素は1999年公開の映画『アメリカン・パイ』やテレビ番組『ジャッカス』を初めとした映像作品にも浸透していった。『ドゥーキー』がリリースされた当時、その2年半前にリリースされていたニルヴァーナの『ネヴァーマインド』は依然として高い人気を誇っていたが、反抗的でありながらもユーモアに満ちた『ドゥーキー』の成功は、90年代の初頭に勃発した10代によるロックの革命が、必ずしも陰気なニヒリズムや怒りのサウンドを含んだものでなくてもいいということをレコード会社や映画/テレビ業界の重役たちに証明することとなった。『ドゥーキー』はロックをもう一度楽しいものにしてみせたのだ。

当時12歳だった筆者がリリースから5年後に『ドゥーキー』を聴いた時、それまでに聴いたことのなかった純粋な音のアドレナリンを感じたことを覚えている。テストの成績で稼いだ1週間分のお小遣いをアルバムのCDに費やした後で、その後の2週間分のお小遣いでグリーン・デイのフード付きパーカーを購入し、それを学校へ着ていって何度も居残りの罰を受けたものだ。その数ヶ月後に初めて覚えることになったギターのリフは、“Basket Case”のそれだった。純粋主義者たちは『ドゥーキー』の商業的な成功を槍玉に挙げるのかもしれないが、筆者を初めとした多くの人々はこのアルバムをきっかけにザ・クラッシュやフガジ、デッド・ケネディーズ 、ブラック・フラッグといったアーティストたちに傾倒していったのだ。リリースから25周年を迎えたことを記念して、多かれ少なかれ『ドゥーキー』によって形作られたであろう数枚のサプライズを含む10枚をここにご紹介しよう。

1. ウェーヴス 『アフレイド・オブ・ハイツ』

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ストーナーな空気感はどう? もちろん。 激しいギターは? もちろん。ポップに対する同程度の感覚は持ち合わせてる? もちろん。本家ほど啓示的ではないにせよ、サンディエゴ出身の彼らによる『アフレイド・オブ・ハイツ』は『ドゥーキー』に対する現代からの回答だといえよう。

2. レディー・ガガ 『ザ・フェイム』

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「グリーン・デイの『ドゥーキー』を買った時のことを覚えているわ。ブックレットのページを無性に舐めたくなったの! あのアルバムは本当に象徴的な作品だわ」とレディー・ガガは『ドゥーキー』が初めて買ったアルバムであることを明かして、デビュー以来彼女のキャリアを形作ることとなった、悪戯なパンクの縞模様が入ったポップの工作員としてのキャラクターを形成する上での青写真となったことを明らかにしている。

3. ノー・ダウト 『トラジック・キングダム』

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カリフォルニアからの呼び声ということでいけば、ノー・ダウトは1995年に、グリーン・デイが前年にこじ開けていたポップ・パンクの扉を『トラジック・キングダム』で通貨してみせた。親の支配への反抗を歌ったカラオケの人気楽曲”Just A Girl”に込められた歌詞のテーマや生意気なエネルギーは、『ドゥーキー』のそれと並列を成すものだ。

4. マイ・ケミカル・ロマンス 『ザ・ブラック・パレード』

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その華やかさやアルバム全体を通した物語の構成の仕方はむしろ、グリーン・デイが後にリリースしたコンセプト・アルバム『アメリカン・イディオット』に影響を受けていると言えるかもしれないが、『ドゥーキー』や続くグリーン・デイの作品で獲得した栄光は敏腕プロデューサーであるロブ・キャヴァロにクリエイティヴ面での自由を与え、ジェラルド・ウェイやその仲間たちと共にダークで実験的な『ザ・ブラック・パレード』を作り上げている。

5. SUM 41 『オール・キラー・ノー・フィラー』

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00年代にスケーター・パンクを再構築してみせたカナダ出身のバンドであるSUM 41は、グリーン・デイのバック・カタログが自分たちのキャリアに多大な影響を与えたことを公言している。「俺が14歳くらいの頃に『ドゥーキー』がリリースされたんだ」とデリック・ウィブリーは振り返っている。「初めて“Basket Case”のミュージック・ビデオを観た時のことを覚えているよ……とてつもないエネルギーに満ちていて、別格のように思えたんだ。それまでに観たことがないものだったんだよ。以来、俺はすぐにファンになったよ」

6. ブリンク182 『エニマ・オブ・ザ・ステイト』

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当然の選出だろう。グリーン・デイや彼らの傑作が落とした影はあまりに大きく、ブリンク182のファンはしばしば、彼らはグリーン・デイの影響をさほど受けていないと主張するが、2組の音楽的な類似性(とマスターベーションへの言及という共通した要素)を差し引いたとしても、もしも『ドゥーキー』が商業的な大成功を収めていなかったとしたら、果たして『エニマ・オブ・ザ・ステイト』はメジャー・レーベルの猛プッシュを受けられていただろうか? 自殺したファンのために書かれた”Adam’s Song”は、メンタル・ヘルスの問題やパラノイアについての物語が綴られている『ドゥーキー』に収録されていたとしても何ら違和感を感じなかったはずだ。

7. ティーガン&サラ 『ソー・ジェラス』

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「CDを買って、何度も繰り返し聴きながら自分が楽曲を弾いているところを想像していたことを覚えているわ。私がギターを弾きたくなる最初のきっかけになったバンドだと思う」とティーガン・クインはポップ・パンクを再解釈した2004年発表の『ソー・ジェラス』をリリースした後でMTVに語っている。

8. パラモア 『ライオット!』

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グリーン・デイの傑作における喧騒的なエネルギーを自らのブランドであるチャート受けする補助輪付きのパンクに注ぎ込み、パラモアは『ライオット!』でメインストリームを席巻することに成功した。傑出したシングル”Misery Business”では、ビリー・ジョー・アームストロングらが数年前に『ドゥーキー』で揶揄していたのと同じ高校生のキャラクターを口撃してみせている。

9. フィドラー 『フィドラー』

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2013年における最も優れたポップ・パンクのデビュー作はグリーン・デイの傑作と同じくらい最高のスリルに満ちている。もう一つトリビアを紹介しよう。1997年発表のグリーン・デイのアルバム『ニムロッド』に収録されている“Time of Your Life”は、ギタリストのザック・カーパーが初めて習得した楽曲であるそうだ。

10. グリーン・デイ 『アメリカン・イディオット』

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ふさわしい回答ではないかもしれないが、『ドゥーキー』の売り上げや同作で獲得した名声がグリーン・デイに壮大な道へと進む決心をさせることに繋がったことには違いない。『アメリカン・イディオット』は、郊外における人生や愛、喪失についての目まぐるしい物語を歌った混沌としたロック・オペラである。本作は全世界で1400万枚を売り上げ、後に同名でミュージカル化もされている。ビリー・ジョーがブロードウェイに進出したのだ。パンクスたちは何と言うだろう?

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