ユニバーサル・ミュージックは2008年に発生した火災で多くの音源が焼失していたことを報告しなかったとして、複数のアーティストがUMGに対して集団訴訟を起こしている。
ユニバーサル・ミュージックは今月、ニルヴァーナやナイン・インチ・ネイルズ、アレサ・フランクリン、ベック、ザ・ルーツら多くのアーティストの音源が2008年にユニバーサル・スタジオ・ハリウッドで起きた火災で焼失していたことを今月まで明らかにしていなかった。
火災は2008年の6月1日に発生したもので、およそ24時間後に消し止められたこの火災によって映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のセットを含む多くのセットが損害を受けている。この火災ではユニバーサル・ミュージック・グループがマスター音源を保管していた倉庫「ビルディング6197」にも火の手がおよんでいる。
今回、多くのアーティストが火災で音源を焼失したユニバーサル・ミュージックに対して訴訟を起こしたことが明らかになっている。サウンドガーデンやホール、スティーヴ・アールといったアーティストのほか、2パックやトム・ペティの遺産管理団体らは原告として先週、ロサンゼルスの連邦地方裁判所にUMGに対する訴訟を申し立てている。この訴訟は集団訴訟とすることを求めており、約1億ドル(約107億円)の賠償を求めているという。
『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、原告はユニバーサル・ミュージックに対して彼らが「テープを適切に保管するというアーティストとの契約に違反した」とした上で、「保険金を含む火災の示談として得られた収入をアーティストらに還元する義務」があると訴えているという。
ユニバーサル・ミュージックは音源が焼失したとするニュースが報じられた当初、『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載された当該の記事について「多くの不正確な事実や、誤解を招くような記載や矛盾、火事やその被害範囲についての根本的な誤解」があると述べていた。
「音楽の保護は私たちが最もプライオリティを置いていることの一つであり、これまでの実績を誇りに思っています」とユニバーサル・ミュージックは声明で述べている。「10年以上前にNBCユニバーサル・スタジオが所有する施設で発生した火事についての詳細を私たちが公に言及できる範囲には制限がありますが、不幸にも起きてしまった火災によって、商業的にリリースされた音楽が使用できなくなるような影響は出ていませんし、アーティストへの報酬にも影響は出ていません」
一方、音源が焼失したとして名前が挙げられていたアーティストの一人であるエミネムは幸運にも音源のバックアップを取っていたようで、エミネムのスポークスマンを務めるデニス・デニヒーは『デトロイト・フリー・プレス』誌に次のように語っている。「すべてではないかもしれませんが、ほとんどのマスター音源はバックアップを取っていたことを確信しています」
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