オアシスと聞いて最初に思い浮かべるイメージとは何だろうか? ドラッグや暴力とは無縁なのはさておき、伝説のネブワースのライヴや、ブリットポップの旗手、強力な90年代のアンセム・ソング、辛辣な批判的態度など、いろいろ思いつくだろうが、そうではない。正解は、「クラシックなレコード・ジャケット」だ。オアシスのレコード・ジャケットの多くは、マイクロドットのブライアン・キャノンがデザインを手掛けている。謎解きのヒントや目くらまし、そして、かつての有名なリバプール出身のバンド――ビートルズへのトリビュートが詰まったこれらのジャケットは、過去20年間のジャケット・デザインの歴史の中でも最も印象的なものに数えられている。そして、そこには必ず多彩なストーリーが込められている。ここに15枚の代表的なレコード・ジャケットを紹介しよう。
Definitely Maybe
ビートルズのアルバム『オールディーズ』のジャケットから発想を得たデビュー・アルバム『オアシス(原題:ディフィニトリー・メイビー)』は、当時バンドのギタリストであったポール・ “ボーンヘッド” ・アーサーズの自宅の居間で撮影された。部屋の中には、バート・バカラックやロドニー・マーシュの写真、回転する地球儀、ライビーナで満たされたグラスなど、暗示的なオブジェクトが配されている。リアム・ギャラガーの「告別正装安置(葬儀の遺体)」のポーズは、マンチェスター科学博物館のエジプト学のセクションを訪れていたフォトグラファーのマイケル・スペンサー・ジョーンズのアイデアだ。
(What’s the Story) Morning Glory?
『モーニング・グローリー』は、ロンドンで最もクールなレコードショップが集まるソーホーのバーウィック・ストリートで夜明けに撮影され、通りを歩くDJのショーン・ローリーとオアシスのデザイナーのブライアン・キャノンがすれ違う(プロデューサーのオーエン・モリスが後方でアルバムのマスター・テープを持っている)様子を、あえて不鮮明に撮っている。「写真の二人は、いい奴らなのか悪い奴らなのか、友人同士なのか敵同士なのか……彼らのキャラクターがはっきりとわからないようにしているんだ」とマイケル・スペンサー・ジョーンズは説明している。
Be Here Now
プレイボーイ・クラブの支配人の旧宅で撮影された『ビィ・ヒア・ナウ』のジャケットは、マイケル・スペンサー・ジョーンズによれば、「『不思議のアリスの国』が『地獄の黙示録』になって」しまったカクテル・パーティの様子が表現されている。アルバムの発売日を示すカレンダーやスクーター、針のない時計や、プールに浮かぶロールスロイス(ボーンヘッドのアイデアによる)などの「謎解き」アイテムの多くが、BBCの小道具ショップで調達されたものだ。
Dig Out Your Soul
『ディグ・アウト・ユア・ソウル』のジャケットの爆発するイメージ――滝や突撃する騎馬隊、齧られたリンゴ(ビートルズを意識?)に、両手の中で爆発する音楽の核爆弾――のデザインはまるで、幼児がはさみを使って作った稚拙なコラージュのようになっているが、実際は、プライマル・スクリームの『エクスターミネーター』のジャケット・デザインを手がけたジュリアン・ハウスの作品である。ノエル・ギャラガーは彼を「ロンドンで最もギャラの高いデザイナー」と呼んでいる。
Some Might Say
「ノエル・ギャラガーからこの歌の詞が書かれた紙を渡されて、詞の内容をすべて盛り込んだイメージが欲しいと言われたんだ」と、シングル“Some Might Say”のジャケット制作時の様子をブライアン・キャノンは語っている。彼はそれを実現すべく、マトロック近郊のクロムフォード駅に、シンクいっぱいの魚、「頭にお盆を載せた」女性(実際は、ブライアン・キャノンが創り上げた架空のバーテンダー)、「教訓が必要」な浮浪者などを寄せ集めた。マイケル・スペンサー・ジョーンズが、モノクロフィルムで撮影し、その写真に1週間かけて彩色することで、超現実的な効果を出している。
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