デヴィッド・ボウイのザ・スパイダーズ・フロム・マーズのドラマーであるミック・ウッディ・ウッドマンジーは、 “Life On Mars”を聴いたことがデヴィッド・ボウイとグループのすべてを変えた瞬間だとし、一方でヒットしないのではないかと危惧していたことを明かしている。
ミック・ウッディ・ウッドマンジーはジギー・スターダスト・アンド・ザ・スパイダーズ・フロム・マーズのドラマーとして1970年から73年までデヴィッド・ボウイと共に演奏している。彼は先週、回想録『スパイダーズ・フロム・マーズ:マイ・ライフ・ウィズ・デヴィッド・ボウイ(原題)』を刊行している。
デヴィッド・ボウイの真の才能を感じた瞬間、またはバンドが圧倒的な成功を収めるであろうことを確信した瞬間はいつだったかという問いに対して、ミック・ウッディ・ウッドマンジーは『NME』に次のように語っている。「それはおそらく、潜在的に言っても、驚くぐらい同時だったんだけど、 “Life On Mars”の時だったんだ。僕たちは彼のベッドルームで彼がピアノをポロンと弾いて歌うところを聴いてたんだ。どうしても彼はピアニストではないから、それは “Life On Mars”の路上ミュージシャン・ヴァージョンみたいだったけど、歌詞は聞き取れたし、すごく面白いサウンドだったんだよ」
「それでスタジオに入って、リック・ウェイクマン(イエス)にピアノを弾いてもらったんだ。デヴィッドは『とにかく、ピアノ単体の作品として弾いて欲しい』とだけ彼に言ってたよ。そして彼が演奏したら、僕たちは口を開けたままそこに棒立ちだったよ。『嘘だろ。まったく違う曲に化けたぞ』ってなったんだ」
彼は次のように続けている。「それで僕たちはその曲の最初のバージョンを録音して、ケン・スコットがミックスしたんだ。僕たち4人を中に呼んで、彼は『聴いてみな』って言ったんだけど、『すごすぎないか、これが僕たち?』って感じになったよ。その曲はクオリティが別次元に到達していて、僕たちがそんなものを演奏していて、この曲がこんなにも素晴らしくて、特別なものだってことを僕たち自身、本当に分かってなかったんだ」
「でも同時に、こんな曲は周りになかったから少し怖くもあったんだ。こんな感じの方向性やスタイル、何かしら近しいものを持った人なんてどこにもいなかった。だから、僕たちはこう思ったんだ。『多分この曲は深すぎるんだ。恐らくこの曲はミュージシャン的作品で、僕たちはこれを好きだけど、他の人は好まないだろう』ってね」
ミック・ウッディ・ウッドマンジー は次のように締めくくっている。「それが、彼の曲を書く器がどこにまで到達できるのかを知った初めての出来事だったんだ。でも同時に、人々はただ『なんてナンセンスなんだ』ってなるだけかもしれなかったから、怖くもあったんだ。それは常に起こり得ることだけどさ」
2003年にデヴィッド・ボウイは米『ヴァニティ・フェア』誌で自身の2500枚にも及ぶレコードコレクションをふるいに掛け、お気に入りの25枚を選び出してそのリストを掲載している。
デヴィッド・ボウイが選んだ25枚のアルバムは以下の通り。
『ザ・ラスト・ポエッツ』ザ・ラスト・ポエッツ
『シップビルディング』ロバート・ワイアット
『ザ・ファビュラス・リトル・リチャード』リトル・リチャード
『18人の音楽家のための音楽』スティーブ・ライヒ
『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
『テュペロ・ブルース』ジョン・リー・フッカー
『ブルース・ラグス・アンド・ホラーズ』コーナー、レイ&グローヴァー
『ライヴ・アット・ジ・アポロ』ジェームス・ブラウン
『フォーシズ・オブ・ヴィクトリー』リントン・クウェシ・ジョンソン
『大寨紅花遍地開 : 民族器樂曲』様々なアーティスト
『バナナ・ムーン』デヴィッド・アレン
『ジャック・ブレルは今日もパリに生きて歌っている』ミュージカル・アルバム
『ジ・エレクトロソニクス:エレクトロニック・ミュージック』トム・ディセヴェルト
『ザ・ファイヴ・サウザンド・スピリッツ』ジ・インクレディブル・ストリング・バンド
『10・ソングス』タッカー・ジマーマン
『4つの最後の歌(R. シュトラウス)』グンドゥラ・ヤノヴィッツ
『ジ・アセンション』グレン・ブランカ
『帽子が笑う・・・不気味に』シド・バレット
『黒天使たち(ブラック・エンジェルズ)』ジョージ・クラム
『ファンキー・キングストン』トゥーツ&ザ・メイタルズ
『ディリュージョン・オブ・ザ・フューリー』ハリー・パーチ
『オー・ヤー』チャールス・ミンガス
『春の祭典』イーゴリ・ストラヴィンスキー
『セカンド・アルバム』ザ・ファッグス
『人間の声の栄光(????)』フローレンス・フォスター・ジェンキンス
デヴィッド・ボウイは、数々のシングル曲を収録した、死後にリリースされる初のベスト・アルバム『レガシー ~ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ』の発売が11月11日に予定されている。また、10月21日に生前最後にレコーディングした音源を収録したミュージカル『ラザルス』のオリジナル・サウンドトラックがリリースされている。同ミュージカルはデヴィッド・ボウイによって書かれ、彼が主演を務めた映画『地球に落ちてきた男』がインスピレーション源になっている。
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