デヴィッド・ボウイが1967年にアメリカのファンからもらったファンレターに対する返事の手紙が再び公開されている。
この手紙は、ショーン・アッシャーが編纂した『レターズ・オブ・ノーツ:アン・エクレクティク・コレクション・オブ・コレスポンデンス、ボリューム2』に掲載されるもので、この手紙の他にもジョン・レノンやウィンストン・チャーチルといった著名人の手紙も掲載されている。
『エンターテイメント・ウィークリー』誌によると、この手紙は、ニュー・メキシコ州在住の当時14歳だったサンドラ・ドッドに宛てた手紙で、アメリカにもまだ行ったことがなかったデヴィッド・ボウイは、謙遜した様子で返事を出している。この手紙は、後にデヴィッド・ボウイが最初の成功を収めることになるシングル”Space Oddity”が発表される以前に書かれている。
タイプライターによって書かれた手紙には、デヴィッド・ボウイ本人も気付いている誤字や、自身が一世を風靡することになるなど予想だにしない未来への思いが見て取れる。
手紙の全文訳は以下の通り。
「親愛なるサンドラへ、
ついさっきマネージャーのオフィスに来たら、アメリカからの初めてのファン・レターが届いてたんだ、君からのね。あまりにも嬉しくて、すぐに返事を書き始めてしまったよ。ケンは僕からの台本をすぐに必要らしく、早く書いてくれって今まさに急かされてるけど、それは後でいいさ。
(原文では That can wait. を That can wiat. とタイプしており、そのことに対し「wi-at? wait と同じ意味の新しい英国の表現さ」、と冗談交じりに綴っている。)
実はこのアルバムに対する、アメリカのリスナーの反応を待ってたんだ。『ビルボード』と『キャッシュ・ボックス』のレヴューは読んだけど、彼らはプロの批評家だから滅多に一般層の意見を反映しないんだ。嬉しくなるようなことを書いてくれてたんだけどね。シングル曲の”Love You Till Tuesday”のことも気に入ってくれてたみたいなんだ。アメリカ版のアルバムも持ってるけど、写真が若干黄色すぎるね。実際はこんな綺麗なブロンドじゃないよ。裏に載ってる写真の方が僕っぽいね。同封した写真を気に入ってもらえることを願ってるよ。
君の質問に答えると、僕の本当の名前はデヴィッド・ジョーンズなんだけど、なぜ名前を変えたかは説明するまでもないね。マネージャーは「誰も君のことをバカになんてしたりしないさ」って言ってくれたんだけどね。誕生日は1月8日で、身長は178センチくらいかな。ここイギリスにはファン・クラブがあるけど、もしアメリカでもうまくいけばそっちにもファン・クラブができるだろうね。まあ、そんなことを考えるにはまだ少し早すぎるんだけどね。
いつかアメリカに行けることを願ってるよ。マネージャーが他アーティストの同伴でアメリカによく行くんだけど、そういうこともあって話はよく聞くんだ。昨日の夜も『ノー・ダウン・ペイメント』っていうちょっと古い映画がテレビでやってたから見てたんだ。いい映画だったけど、もし、これがアメリカ風の人生を反映してるなら少し寂しいね。けど、その少し後にアメリカの詩人、ロバート・フロストの自宅のバーモント州でほとんど撮影されたドキュメンタリー映画が放送されてて、それでおあいこって感じかな。こっちのほうが『本物の”アメリカに近いだろうって思ってるよ。実は僕も先週初めての映画を作ったんだ。15分だけの短編物なんだけど、来年の1月に撮影が始まる長編物に向けていい経験を積めたよ。
手紙を書いてくれて本当にありがとう。また書いてくれるととても嬉しいし、今度は君のことをもっと教えてほしい」
手紙の写真はこちらから。
http://www.ew.com/article/2016/10/10/shaun-usher-letters-note-david-bowie
デヴィッド・ボウイは、数々のシングル曲を収録した、死後にリリースされる初のベスト・アルバム『レガシー ~ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・デヴィッド・ボウイ』が11月にリリースされることが発表されている。
生前、デヴィッド・ボウイは多くのリリースを計画していたと報じられており、生前最後に収レコーディングされた音源を収録したミュージカル『ラザルス』のサウンドトラックは10月21日にリリースされる。
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