
Photo: Alex Lake
レディオヘッド、サム・フェンダー、デュア・リパらはイギリス政府に対してチケットの転売価格に上限を設けるという以前の公約を守るよう求めている。
今年1月、イギリス政府は転売業者によるチケットの転売価格に上限を設けると共に物議を醸している「ダイナミック・プライシング」やチケット業界に関する公式協議を開始すると発表していた。
ここには企業、ウェブサイト、個人がライヴ・イベント、コンサート、演劇、スポーツなどのチケットを転売できる価格にも制限が設けられることが含まれていた。
協議は1月10日から4月4日にわたって行われたが、協議から7ヶ月を経て、こうした変更はいまだ実施されておらず、新たな情報についても公開されない状態が続いている。それを受けて、今回、多くのミュージシャンが消費者団体と協力して、政府に公約を守るよう求めている。
政府への公開書簡にはレディオヘッド、サム・フェンダー、デュア・リパ、コールドプレイ、ザ・キュアーのロバート・スミス、アイアン・メイデン、PJハーヴェイ、ニュー・オーダー、マーク・ノップラーが署名している。
これは「ウィッチ?」、「ファンフェア・アライアンス」、「O2」、「フットボール・サポーター協会」といった団体と協力したもので、以前提起された保護措置は「転売業者の利益を支える法外かつ有害な二次チケット市場の諸要素を是正するために必要なもので、転売業者の搾取的な行為は、真のファンが愛する音楽、演劇、スポーツを楽しむ機会を奪っています」と述べられている。
「一部の転売プラットフォームは、あまりにも長い間、転売業者による大量購入と高額転売を許しており、ファンは定価以上の金額を支払うか、完全に見逃すかの選択を迫られてきました。これはライヴ・イベント業界への信頼を損ない、アーティストや主催者が公演をより身近で手頃な価格にするための努力を阻害しています」
「転売価格への上限の導入はチケット業界への信頼を回復し、政府の政策に沿ってアートへの一般市民のアクセスを民主化するのに役立ち、ファンがチケット詐欺などの違法行為を見つけやすくなるでしょう」
消費者団体「ウィッチ?」の法律顧問であるリサ・ウェッブは次のように続けている。「本日の共同声明は、アーティスト、ファン組織、そして消費者が、あまりに長く転売業者の横行を許してきた機能不全のチケット市場を拒否していることを明確に示しています。首相はファンの保護を約束し、転売チケットの価格上限はこの業界是正に向けた重要な一歩となりますが、次回の施政方針演説に盛り込むことで、この法案の実現に尽力しなければなりません」
「さらに、販売者が掲載する前に実際にチケットを所有していること、転売プラットフォームが販売者の身元とチケットに関する重要な情報を確認していること、そして新しい規則が効果的に施行されていることを確認するためのさらなる改革も必要です」
ライヴ・ネイションのスポークスパーソンは次のようにコメントしている。「ライヴ・ネイションはチケット転売価格に上限を設けるという政府の公約を全面的に支持しており、これを実現するための行動を強く求めます。これはファンを搾取的な転売から守り、誰もがライヴ音楽にアクセスできるようにする上で、極めて重要な一歩です」
二次チケット企業のヴィアゴーゴーは次のように述べている。「チケット業界がしっかりとファンを保護するためには意見ではなく、証拠に基づいた改革が必要です。証拠によれば、価格上限は何度もファンの期待を裏切ってきました。アイルランドやオーストラリアといった国では、消費者をソーシャルメディアや規制されていないサイトに誘導することとなり、その詐欺率はイギリスのほぼ4倍にも達しています」
「300以上の金融機関を代表するUKファイナンスは価格上限は詐欺リスクを高めると政府に警告しました。担当大臣であるハンソン卿に対してナットウエスト、モンゾ、ワイズといった金融機関は価格上限はオンラインチケット詐欺の危険な急増を助長する可能性があると警告しています。レボリュートはNFLのダブリン戦のチケット発売後、アイルランドでチケット詐欺が80%増加したと報告しています。これは価格上限が設けられた場所では、ファンが安全にチケットを購入できる選択肢がないため、詐欺につながることを示しています。私たちは業界に対して銀行が提示した証拠を検討し、改革を導入する前に正式なリスク評価を実施するよう強く求めます」
「ファンが直面する最大の問題に対処する解決策はオープンチケットです。これは主要プラットフォームと再販プラットフォームをリアルタイムで接続し、チケットを検証するものです。オープンチケットは違法なボット活動を特定し、詐欺を排除するための重要な情報を共有することができます。これは航空会社や旅行サイトで航空券を予約できるのと同じタイプの技術です。市場を開放し、より多くのプラットフォームが価格、手数料、サービスで競争することで、価格の低下にもつながります」
ヴィアゴーゴーは「オープンチケット販売はライヴ・ネイションとチケットマスターの主要独占に挑戦することにもなります。両社は主要チケット市場の80%を支配しており、米国司法省の調査を受けています」
改革の必要性は長らく求められてきたが、昨年のオアシスの再結成公演を巡ってその議論は加速することとなっている。待望の再結成公演のチケットは「高騰した」価格で発売されることとなり、消費者法違反の可能性があることを受けて、イギリスの広告基準局と欧州委員会によってれぞれ個別に調査が行われることも決定していた。
当時、オアシスは声明で次のように述べている。「はっきりさせておきたいのは、チケット販売と価格設定に関する決定を完全にプロモーターとマネージメントに委ねており、ダイナミック・プライシングが採用されることをまったく認識してなかったということです」
「プロモーター、チケットマスター、バンドのマネジメントの間で事前に行われたミーティングでは、一般チケットの価格を維持して、転売を減らすためにダイナミック・チケッティングを含め、ファンにとって公平な体験となるようなチケット販売戦略が打ち出されましたが、計画の実行は期待に応えるものではありませんでした」
クリス・ブライアント議員は『NME』に対して二次チケット市場の問題点について次のように語っている。「最大の問題は、チケットを何枚まで購入できるかということです。なぜなら、偽名を使ったボットが何百枚ものチケットを売りさばいているのは明らかです。どう対処すべきでしょうか?」
「二つ目は、上限額とその額です。額面価格のみで販売すべきでしょうか? プリンシパリティ・スタジアムではウェールズ・ラグビー・ユニオンの試合でそうしています。それとも、手数料や10~30%を上乗せするべきでしょうか? 現在、その範囲について協議中です」
「第三はライセンス制度の導入の是非について協議を行っています。皆様のご意見をお待ちしております。私たちのマニフェストでは、二次チケット市場で既に見られるような、甚だしい不正行為に対処するものになっています。総選挙でこの問題に対処すると表明して、実際にそうするつもりです。これが今回の協議の主要部分です。行動を起こすべきかどうかではなく、どのように行動し、どのような行動を取るべきかを問うています」
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