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ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーがスポティファイをはじめとするストリーミング・プラットフォームから楽曲を削除している。
ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーはスポティファイやタイダルから全ディスコグラフィーを削除しただけでなく、アップル・ミュージックからも一部の作品を削除している。記事執筆時点ではアップル・ミュージックで配信されているのは1998年発表の『F# A# ∞』と2000年発表の『リフト・ユア・スキニー・フィスツ・ライク・アンテナズ・トゥ・ヘヴン』の2枚のみとなっている。
ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーはストリーミング・プラットフォームから楽曲が削除されたことについて正式な発表を行っていないが、前述の2枚のアルバムをリリースしているクランキー・レコードの担当者は『ピッチフォーク』に対してアップル・ミュージックからも作品の削除を行う手続き中であることを明かしている。
担当者は声明の中で「クランキーは常にアーティストに楽曲の発表方法や配信方法をコントロールする権限を与えてきました」と述べている。ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーの楽曲が現在配信されている唯一のプラットフォームはバンドキャンプとなっている。
ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーに先立って、キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード、シュ・シュ(Xiu Xiu)、ディアフーフといったアーティストもスポティファイから楽曲を削除している。この3アーティストはスポティファイのCEOであるダニエル・エクがミュンヘンに拠点を置く軍事作戦用ドローンと人工知能を開発する企業、ヘルシングに投資したことをプラットフォームからの離脱理由として挙げている。
近年、ストリーミング・プラットフォームと音楽業界の関係については議論を呼ぶことととなっており、2024年にはダニエル・エクが「コンテンツ制作」のコストに関する発言で批判を浴び、多くのユーザーやミュージシャンから「現実を観ていない」と評されている。
ダニエル・エクは後に発言を撤回して、謝罪の中でミュージシャンが直面する苦境を軽視し、「コンテンツ」という「矮小化された」レッテルを貼るつもりはなかったと説明している。こうした批判はほぼ同時期に人員削減とサブスクリプション料金の値上げにより、スポティファイが10億ユーロ(約1700億円)以上の利益を上げたことが判明したことで、さらに高まっている。
スポティファイは再生回数が1,000回未満のすべての楽曲の収益化を正式に停止したことでも批判を浴びている。これによりアーティストが楽曲からロイヤリティを得ることが難しくなり、音楽業界に参入しようとする新人アーティストの活動が制限されることになる。
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