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レッド・ツェッペリンのギタリストであるジミー・ペイジはAIにまつわる著作権法改正についてイギリス政府を批判している。

イギリス政府は著作権法の改正を検討しており、改正は人工知能プラットフォームが著作権で保護された作品を使って、ライセンスを必要とせずにモデルを開発して、訓練することを容易にするものとなっている。

改正案では「テキスト・マイニングやデータ・マイニング」のためであれば、著作権を尊重することなくオンラインで素材を使用することが許可される。それを避けるためには権利者が「権利留保」を申請しなければならない。

ジミー・ペイジはインスタグラムで改正案に対する懸念を表明しており、利用から除外するように申請する制度は適切な補償なしにアーティストの搾取が可能になってしまうと主張している。

「人工知能がクリエイティヴィティを再現して収益化しようとしている現在、私たちは交差点に立っています。既存の人間の作品から合成されたAIが生成したアートや音楽は生きた経験から来る直感的な本質を欠いています。それらは虚ろな反響に過ぎず、真の芸術性を定義する苦闘や勝利、魂がありません」とジミー・ペイジは述べている。

ジミー・ペイジは次のように続けている。「さらに倫理的な意味合いとしても深遠なものがあります。AIが人間のクリエイティヴィティの膨大なタペストリーを収集してコンテンツを生成する場合、多くの場合、同意も帰属も対価もなしに行われることになるでしょう。これは革新ではありません。搾取です」

「セッションをしていた時代は誰かが私のリフを承認も対価もなしに盗用したとしたら、それは盗作と見なされたでしょう。同じ基準がAIにも適用されなければなりません」

「私たちはアーティストを守ってくれる政策を支持し、作品が機械学習の隙間に見境なく吸い上げられることがないようにしなければなりません。アートにおける人間的な感触を大切にして守っていきましょう。不完全性、感情、一音一音や抑揚に込められた物語といったものがあるのです」

ジミー・ペイジはイギリス政府の改正案は「見せかけ」だとして人間のクリエイティヴィティが守られることを求めており、そうすることで「アーティストの権利だけでなく、文化的遺産のソウルそのものを守ることになる」と述べている。

「現実的にアーティストが申請を行うのは不可能なことです。政府による協議は今日で終了しましたが、明確にすべきことがあります。これは規制ではなく、AIにクリエイティヴィティを搾取させるフリーパスだということです」

「明確な同意と公正な補償なしにAIで人間のクリエイティヴィティを収益化できないことを保証する法律の制定を推進しなければなりません。政府が現在協議している推奨の改正案はそういうものではありません」

ジミー・ペイジは音楽について「データの産物」ではなく、むしろ「喚起、論理の反抗、時間と場所と魂の衝突」であるとして、次のように述べている。「もしAIに人間のクリエイティヴィティの核心を共有させるなら、それは大胆な新時代を切り開くことではなく、オリジナリティそのものの死刑執行状に署名することになります」

多くのミュージシャンがAIにまつわる著作権法改正については見解を表明しており、ブライアン・メイも『デイリー・メール』紙に次のように語っている。「恐れているのは時すでに遅しかもしれないということなんだ。既に盗用は行われており、止められなくなっている。AIやソーシャル・メディアを所有する怪物のように傲慢なビリオネアが私たちの生活に入って生きているように多くの侵略が起きているんだ。未来はもう永遠に変わってしまったんだよ」

ポール・マッカートニーも著作権法の改正案を批判しており、もしそれが実現すれば、AIがアーティストから搾取することを可能にし、「創造性の喪失」につながると語っている。

先日、AIを巡ってはデーモン・アルバーン、ケイト・ブッシュ、アニー・レノックスなど、1000人を超えるアーティストがイギリス政府が計画している関連した著作権法の改正に抗議するサイレント・アルバムを発表している。

生成AIの年間市場規模は現在25億ポンド(約4800億円)だが、2028年には528億ポンド(約10兆円)になると試算されている。

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