
Photo: GETTY
ロバータ・フラックが亡くなった。享年88歳だった。
ロバータ・フラックはR&Bの先駆者として“The First Time I Ever Saw Your Face”、“Feel Like Makin’ Love”、“Killing Me Softly With His Song”といった曲で広く知られている。
担当者は訃報について次のように述べている。「輝かしいロバータ・フラックが今朝亡くなったことに胸を痛めています。彼女は家族に囲まれて穏やかに亡くなりました。ロバータ・フラックは境界と記録を破った人物でした。彼女は誇りを持った教育者でもありました」
死因については発表されていないものの、ここ3年、ロバータ・フラックはALSとの闘病生活を送っていた。
ロバータ・フラックは1937年にノース・カロライナ州で生まれ、ヴァージニア州で育っている。子どもの頃から様々な教会で歌い始めた彼女は9歳でピアノを習い始め、奨学金を得てハワード大学に入学している。
卒業後、ロバータ・フラックは音楽教師としてキャリアを始め、様々なクラブでシンガーとして働くこととなっている。60年代後半にポップ・ミュージックに移行した彼女はキャピトル・ヒルのミスター・ヘンリーズ・レストランに出演して、ビル・コスビーやウディ・アレンなどに認められることとなった。
1969年にロバータ・フラックはアトランティック・レコーズよりデビュー・アルバム『ファースト・テイク』をリリースし、1971年には『SOUL TO SOUL/魂の詩』が撮影されたガーナ独立記念日コンサートにサンタナやアイク・アンド・ティナ・ターナーと共に出演している。
70年代を通して成功は続き、名曲“The First Time I Ever Saw Your Face”はクリント・イーストウッド監督デビュー作『恐怖のメロディ』に使われている。同曲は1973年のグラミー賞で最優秀レコード賞を受賞して、キャリアで初めて全米シングル・チャート1位を記録している。ロバータ・フラックはクリント・イーストウッドの映画『ダーティハリー4』にも参加している。
1973年発表のアルバム『やさしく歌って』からは“Killing Me Softly with His Song”がグラミー賞の最優秀レコード賞と最優秀女性ポップ・パフォーマンス賞を受賞して、全米シングル・チャート1位を再び記録している。1974年にリリースされた“Feel Like Making Love”も全米シングル・チャート1位を記録している。
“Killing Me Softly with His Song”は20年以上を経て、フージーズのアルバム『ザ・スコア』でカヴァーされて、さらに認知を獲得することとなっている。ロバータ・フラックは2010年代後半まで音楽活動を続け、最後のアルバムは2018年発表の『ランニング』となっている。また、2012年にはザ・ビートルズのトリビュート・アルバム『レット・イット・ビー・ロバータ』をリリースしている。
2020年にはグラミー賞の生涯業績賞を受賞しており、2022年には筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断されたことを発表している。筋萎縮性側索硬化症は脳と脊髄の神経に影響を及ぼす神経変性疾患で、残念ながらロバータ・フラックは歌うことができなくなっている。
晩年は児童書や彼女の生涯を描いたドキュメンタリーなどのプロジェクトに取り組んでいた。『ロバータ』と名付けられたドキュメンタリーは2022年11月に公開され、児童書『ザ・リトル・グリーン・ピアノ』は2023年に刊行されている。
ロバータ・フラックはキャリアを通して13回グラミー賞にノミネートされており、最後にノミネートされたのはアルバム『ロバータ』の最優秀トラディショナル・ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞となっている。ロバータ・フラックはミュージシャンである息子のバーナード・ライトをのこしている。
広告 ザ・ビートルズの新作ドキュメンタリー『ビートルズ ’64』がディズニープラスで11月29日(金)より独占配信!
Copyright © 2025 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.