マリアンヌ・フェイスフルが亡くなった。享年78歳だった。
訃報はマリアンヌ・フェイスフルのスポークスパーソンによって発表されており、次のように述べている。「深い悲しみと共にシンガー、ソングライター、女優のマリアンヌ・フェイスフルが亡くなったことを発表します。マリアンヌ・フェイスフルは愛する家族に囲まれてロンドンで本日、穏やかに亡くなりました。彼女は深く惜しまれることになるでしょう」
マリアンヌ・フェイスフルは1960年代に「スウィンギング・ロンドン」と呼ばれたロンドンのアート&音楽界における中心人物で、ブリティッシュ・インヴェイジョン期において主要な女性アーティストの一人となった。マリアンヌ・フェイスフルは“As Tears Go By”といったヒット曲やステージや銀幕の役柄で記憶されることになった。
1946年にロンドンで生まれたマリアンヌ・フェイスフルはレディングで育ち、ティーンエイジャーの時にロンドンに戻ってきている。彼女はザ・ローリング・ストーンズのマネージャーだったアンドリュー・ルーグ・オールダムとほどなく出会い、ミック・ジャガーとキース・リチャーズが作曲した“As Tears Go By”が最初のヒット曲となっている。“As Tears Go By”は全英チャートでトップ10入りを果たしたが、マリアンヌ・フェイスフルは当時まだ17歳だった。
マリアンヌ・フェイスフルはその後12ヶ月の内に“Come And Stay With Me”、“This Little Bird”、“Summer Nights”といったヒット曲を生み出し、アメリカでも成功を収めたシングル・アーティストとしての地位を確立することになった。
60年代中盤にはウェスト・エンドの舞台に定期的に出演しており、グレンダ・ジャクソンと共に出演したチェーホフの『三人姉妹』やアンジェリカ・ヒューストンを相手役に迎えたシェイクスピアの『ハムレット』などで知られている。
初期の映画出演作には1966年公開のジャン=リュック・ゴダール監督作『メイド・イン・USA』での本人役があり、1967年公開の『明日に賭ける』ではオーソン・ウェルズやオリヴァー・リードと、『あの胸にもういちど』ではアラン・ドロンと共演している。
しかし、彼女の知名度を大きく押し上げたのはザ・ローリング・ストーンズとの関係で、マリアンヌ・フェイスフルは1965年にアーティストのジョン・ダンバーと結婚し、息子のニコラスをもうけたが、翌年、夫の下を去り、ミック・ジャガーと4年間交際している。
マリアンヌ・フェイスフルはバンドの「ミューズ」だったと考えられており、“You Can’t Always Get What You Want”や“Wild Horses”などの曲にインスピレーションを与えたと見られている。彼女はまた“Sister Morphine”を共作したが、後年、長い法廷闘争の末に作者としてクレジットされる権利を勝ち取らなければならなかった。
当初は高音だったマリアンヌ・フェイスフルの声は薬物乱用や喉頭炎の影響もあって年々変化することになった。活動休止期間を経て、1979年発表の『ブロークン・イングリッシュ』で再び批評家の称賛を浴び、グラミー賞にノミネートされ、キャリアが復活することとなっている。
後年、マリアンヌ・フェイスフルはニック・ケイヴやPJハーヴェイといったアーティストと活動を共にしており、ニック・ケイヴのドキュメンタリー『ディス・マッチ・アイ・ノウ・トゥ・ビー・トゥルー』ではニック・ケイヴとウォーレン・エリスが“Galleon Ship”を演奏する導入として、メイ・サートンの詩『Prayer Before Work』を朗読している。
2021年、マリアンヌ・フェイスフルは新型コロナウイルスとの闘病が歌う能力を奪ってしまう恐れについて語っている。マリアンヌ・フェイスフルは2020年3月に入院して、22日間の治療を受けたが、1年後にまだ余波があることを明かしている。
「具合はすごく悪い」とマリアンヌ・フェイスフルは語っている。「肺も記憶力も疲労も影響を受けていて、さらに悪くなる可能性がある。もう一度歌うことができるのかも分からない。1週間に一度、歌の練習をやっていて、全力を尽くしているけど、すごく大変なの」
「ツアーは大好きだから、もう一度できない可能性があるということに胸を痛めている。でも、映画みたいに回避できる方法もあると思う。いつか5都市で公演ができるかもしれない。ロンドン、パリ、ベルリン、あと2都市ね。でも、長距離移動はできない。ヨーロッパにいるから、ここに留まると思う。でも、それで問題ない。私はヨーロッパ人だから」
マリアンヌ・フェイスフルは伝記映画『フェイスフル』が2020年から製作されているが、現時点でまだ完成していない。
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