キャストのフロントマンであるジョン・パワーは『NME』のインタヴューに答えて、オアシスの再結成によるUK&アイルランド公演のサポート・アクトを務めることについて語り、「すごくポジティヴなヴァイブ」しかないと述べている。
オアシスは2009年以来となるライヴを「オアシス・ライヴ ’25」と銘打ってカーディフ、マンチェスター、ロンドン、エディンバラ、ダブリンで行うことを発表しており、それによってサポート・アクトを巡っては様々な噂が駆け巡ることとなっていた。
先日、キャストはロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われる7公演やマンチェスターのヒートン・パークで開催される5公演を含むオアシスのUK&アイルランド公演にスペシャル・ゲストであるリチャード・アシュクロフトと共に出演することが正式に発表されている。
「驚いたよ」とジョン・パワーは『NME』に語っている。「承諾して、正式な発表を待っていたところなんだけどさ。やっと喜びに浸ることができるね。これは仲間からのお墨付きだと思うし、すごく有り難く思っているんだ」
ジョン・パワーは次のように続けている。「自分たちの功績を再確認して、バンドとして歩んできた道のりが本物であることを証明してくれるようなものだからね。しかも、今回は俺たちとリチャード・アシュクロフトとオアシスだ。ノーザン・ソウルだよね。そういうラインナップだと思う」
元ザ・ラーズのメンバーでもあるジョン・パワーはキャストの道のりがオアシスの道のりと交差しながら進んできたことで、気づけば「世界でも最大のツアーに出演することになっていた」と述べている。
ギャラガー兄弟との出会いについてジョン・パワーは次のように振り返っている。「ザ・ラーズを脱退して、彼らをマンチェスターの小さなクラブに観に行ったんだ。悪い感情はないということを示すためにね。そこで初めてリアムと会った。そうしたら若い奴が俺のところに来て、タバコを求めてきたんだ。それが16歳のリアムだった」
「その後、俺はキャストでデモをレコーディングしていたんだけど、“Supersonic”が出て、オアシスは小さなクラブ・ツアーをやっていたんだよね。リヴァプールの小さなライヴハウスに寄って、『NME』のジャーナリストと話していたら――彼はザ・ラーズで俺のことを知っていたんだ――するとリアムが入ってきて、それがテレビ番組『ザ・ワード』に出た数日後の話で、今日はタバコをせびったりはしないよと言ってきたんだ」
「楽屋でリアムとノエルがデモを聴かせてくれてね。何かあると思うだろ。彼らはロンドンのニュー・クロスでやった公演のサポート・アクトに起用してくれてね。あれは重要なことだった。そこにポリドールのA&Rのトップがいて、俺たちは契約することになったんだ」
90年代前半のシーンについてジョン・パワーは「時代の流れが国中のあちこちで起こっていた」として、「誰かが点と点を結びつけて、ジャーナリストが『ブリットポップ』という言葉を生み出すずっと前から」共通の興奮があったと振り返っている。
「オアシスやスーパーグラスと出会う前からキャストが何かになることは分かっていた」とジョン・パワーは語っている。「そして、“Supersonic”で爆発したんだ。多くのバンドが自分たちのことを本当に信じていたし、見せかけだけじゃなく、曲があった。俺たちもそうしたバンドの一つだということは分かっていたよ」
「素晴らしい時代だった。90年代のバンドは誰もをれを今になって振り返ったりしない。あの18ヶ月に書かれたものや起きたことはすごかったけど、常に前を見ていた。今がすべてなんだ」
ジョン・パワーは次のように続けている。「ステージに出ていったら、すべては今とここになる。ノスタルジックになる人間はいない。昨日のことでもない。今回の公演も2025年のもので、明日の神話を作るものなんだよ。願わくば今から20年後、ネブワースの伝説を話すように、このツアーのことを話してほしいね」
キャストについては2024年発表のアルバム『ラヴ・イズ・ザ・コール』へのあたたかい反応があり、リアム・ギャラガーによる『ディフィニトリー・メイビー』30周年ツアーのサポート・アクトを務めたこともあって「ここ18ヶ月は本当に素晴らしいものだった」とジョン・パワーは振り返っている。
「ニュー・アルバムをリリースしたんだけど、それがデビュー時のエネルギーをくれたんだ」とジョン・パワーは語っている。「この期に及んで、そんなことを言うのはすごく不思議な感じだけどね。ライヴでは何事もうまくいくかのように人々と繋がれるんだ。リアムのツアーもやったけど、素晴らしかったしね。観客にも新たなダイナミズムがあるんだよ。俺たちがザ・クラッシュやザ・フーを発見したように、若い世代が発見してくれているんだよね」
最近のツアーと昔のツアーを比較して、ジョン・パワーは次のように続けている。「90年代の頃は俺たちもまだ若かった。享楽的な時代だった。バンドも、ジャーナリストも、レコード会社の重役も、誰もがパーティーしていた。それで疲れ果ててしまった。自分に納得できて、パフォーマンスをできることほど、いいことなんてない。そのエネルギーは価値あるものだし、酔っ払ってステージに上がって面目をつぶすのなんて長くは続かないからね」
「リアムの『ディフィニトリー・メイビー』ツアーはよく手入れされた機会のように動いていた。楽屋の空気もポジティヴで、オアシスとのツアーでもそうなるんじゃないかな。このツアーに参加している人たちはみんな、そこにいたいと思っている。みんな、ロックンロールについて語れるあらゆることを経験してきたし、それを乗り越えてきたんだ」
ジョン・パワーは次のように続けている。「俺も最高の状態で歌って、演奏しているし、ツアーに参加している他のアーティストもみんなそうありたいと思っている。リアムもノエルもバンドも、とてもポジティブな雰囲気になることが分かるからね。ネガティヴなことの居場所はない。参加する全員が知り合いだしさ。素敵なことだよ。すべてのバンドがシームレスに入れ替わって、最高のことになるはずだよ」
オアシスの再結成を巡る狂想曲の中でジョン・パワーはギャラガー兄弟と連絡を取ったのだろうか?
「発表前にリアムとは話をして、ノエルとはメールでやりとりした」とジョン・パワーは答えている。「外野の声がうるさいから、状況が落ち着くまで少し待っているところなんだ。連絡はできる。でも、来年7月のことだからね。ツアーを一つ終えて、曲を書きながら次のツアーを待っているところで、いろんなことがあるけど、みんなエネルギーを感じているし、楽しみにしているよ」
オアシスのニュー・アルバムについてジョン・パワーはどう考えているのだろうか?
「長い間、解散していたからね。誰に分かると言うんだい? 一緒にステージに立って、音楽的な関係を築いていかなければならないわけでさ。キャストもそのゾーンまで戻ってくるのに、だいぶ時間がかかることとなった。だから、オアシスが一緒にやってみて、それが始まりなのか、それだけなのか、ということだけど、それで十分だと思うよ」
「計り知れないぐらい多くの人にとって大きなことだからね。オアシスと彼らの曲はそういうものなんだよ。今も人々に大きな影響を与え、魂となっている。彼らはそれぐらいストロングで重要なバンドなんだ。ライヴもすごいものになるよ」
今のところ、キャストは年内にツアーを終えて、その後ユースと再びさらなる新曲に取り組む予定となっている。
「『ディフィニトリー・メイビー』ツアーで曲をやってみて、時間というのは伸びるものだと思ったんだよね。“Walkaway”みたいな曲を歌っていると、過去のことじゃなく、今書いたような気分なんだ。現在みたいなんだよ」
「視線は先を見つめている。『ラヴ・イズ・ザ・コール』の時期が終わって、新年にはスタジオに入り始めようと思っているんだ。セットリストの半分は新しい曲なんだけど、昔の曲や名曲と同じくらいいい感じなんだ。観客との繋がりがあって、90年代にいた人たちだけでなく、18歳や19歳の若者たちが飛び跳ねているのが視界の隅に見えるんだ」
「『ラヴ・イズ・ザ・コール』以降、昔のように何かとつながっていると感じている。でも、今はそれほど必要でもないし、気負ってもいない。歳を取って、リラックスできるようになった。オアシスのサポート・アクトの声をかけてもらったのは大きかったよ。僕たちは大きな力を信じているし、宇宙が僕の鼓動に耳を傾けてくれているような気がしてウキウキしているんだ」
「リアムのツアーに参加したことで、アリーナのステージで演奏する際の得意技を見つけたと思っていてね。今はウェンブリー・スタジアムで8公演もやるとなると、レベルを上げる必要があるという感じかな」
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