アメリカのシアトルは、パンク・バンドのザ・クラッシュを讃えて「国際ザ・クラッシュの日」を定めた世界で3番目の都市となっている。シアトル市長は、シアトル出身のバンドであるパール・ジャムのメンバーが彼らを聴いて育ったことを祝福している。
シアトル市長のエド・マーレイは、2月7日をザ・クラッシュの日に定める予定で、続く声明ではこの日になったのは地元シアトルのラジオ局であるKEXPのDJに関係していると明かしている。
「UKの伝説のバンドであるザ・クラッシュは1976年に結成され、社会的意識の高い歌詞と共にレゲエやダブやファンクやスカをパンクと融合させて独自のサウンドを確立しました。1982年に彼らはキングドームでライヴを行っており、ヘッドライナーのザ・フーよりも輝かしいパフォーマンスを行い、当時若いオーディエンスの一人だったジェフ・アメンを刺激し、その後、彼はパール・ジャムのベーシストとなりました」
「2013年2月のある日、KEXPのDJであるジョン・リチャーズは気まぐれに、それができるからという以上の理由なく、『国際ザ・クラッシュの日』を宣言しました」
KEXPは数日にわたって12時間、ザ・クラッシュのレア局なのど音楽とインタヴューをオンエアしている。
KEXPの聴取はこちらから。
シアトルは「国際ザ・クラッシュの日」を正式に定めた3番目の都市となっていて、同じくワシントン州のキング・カウンティ、イギリスのサマーセット州のブリッジウォーターに続くものとなっている。
ザ・クラッシュは昨年、ファースト・アルバムについて「無惨な結果に終わる」と当時のA&Rが断言した手紙が公開されて、ニュースとなっている。
この手紙は当時のA&;R幹部だった故ブルース・ハリスによって書かれたもので、パンク・ファンであるポール・ドハーティから届いた手紙に対する返信として書かれたものだという。
手紙の全文訳は以下の通り。
1977年11月29日
親愛なるポールへ
君がラジオとはどんなものか教えてくれたお礼に、僕は我々レコード会社の事情を少しだけ教えたいと思う。
残念ながら、A&Rの判断には個人の好みだとか音楽ジャンルの嗜好はまったく関係ないんだ。信じてくれないかもしれないが、私は個人的にザ・クラッシュの熱烈なファンだ。しかし、私には自分が好きなレコードではなく、この会社に利益をもたらす可能性があるレコードを売り出す責任がある。君が私のこういう見方をモラルに反するとか何とか言って片づけてしまうのは別に構わないが、私自身はCBSレコードからお金だけもらって全力で職務を全うしないことこそモラルに反すると考えている。ここに座って、ザ・クラッシュが好き、ザ・ヴァイブレーターズが好き、ザ・アドヴァーツが好き、ブロンディが好きと言うのは簡単だけど、それでは何もやり遂げたことにはならないんだよ。ザ・クラッシュのレコードをリリースすればアメリカの音楽市場やFMラジオ、マスコミの仕組みは変わると君は言うが、それは信じられないよ。私の経験則に従って音楽業界のビジネスの観点からみると、ザ・クラッシュのアルバムが無惨な結果に終わるのは目に見えているんだ。
それから重要なことだが、ザ・クラッシュのアルバムの質(素晴らしい歌詞、激しい音楽や熱を帯びたパフォーマンスであることは確か)が、レコードを生産するレベルに達していないというのは深刻な問題だ。彼らのライヴ・パフォーマンスはこのレコードに収録されているものより何倍もいいわけで、こんな粗末な音のアルバムを作った人の芸術性を疑わずにはいられないよ。彼らが紡ぎだすのはニュー・ウェイヴであり、ニュー・ウェイヴの音楽はこれまでと同じルールや他の音楽など真似しないからこそ、アルバムは意図的にお粗末な仕上がりになっている、というのは間違った評価の仕方だ。それはただの言い訳にすぎない。例えば、セックス・ピストルズのアルバムはまともなものになっていて、結果的にその音には説得力があり、バンドのパワーがみなぎっているんだからね。ザ・クラッシュはファースト・アルバムよりもいいレコードが作れると私は信じているし、それができるならアメリカの市場でも売り出すべきだ。
私はアメリカでパンク・ロックを根付かせることに深い関心を持っているが、その目的が果たせるのは最高の質の商品(例えばセックス・ピストルズのアルバム)だけだ。
失敗はレコード会社の責任ではない。ラジオに関しての君のコメントは確かに正しいが、もう一歩先まで考えを巡らせてみれば行く手を阻んでいるのはレコードの生産者ではなく、ラジオだということが分かるだろう。サイアー・レコードはニュー・ウェイヴのアルバムを多く出しているが、その中の曲がラジオで頻繁に流れていたり、枚数を売り上げたりすることはない。個人的な意見だが、アルバムのクオリティが低いことが原因の一つだと思う。その一方で、パンクの時代もそのうち訪れるだろう。その火付け役になるのは、これからセカンド・アルバムを出すトーキング・ヘッズか、もしくは少しずつ成長していきそうなデッド・ボーイズかもしれない。
私はザ・クラッシュがその分野ではセックス・ピストルズを抜きにすれば一番いいバンドだと信じているし、私は彼らのセカンド・アルバムの制作に深く関わっていた。フリートウッド・マックのような音楽をやってほしいなんて思ってない。アマチュアの演奏ではない、ザ・クラッシュらしい音楽を奏でてほしいんだよ。
興味を持ってくれたことは光栄だし、君の意見に賛成はできなかったけど、この先の方向性についてストリートからの君の意見を聞けたことは本当に嬉しかった。ザ・クラッシュの次のアルバムが納得できる仕上がりになって、うちの会社から発売できることを願っている。それから、君なら喜んでくれると思うが、コロムビア・レコードが来年ザ・ヴァイブレーターズの新しいアルバムを出すようだ。それから我々のレーベル、ブルー・スカイがデヴィッド・ヨハンセンのソロ・アルバムを、エピック・レコードはマスタースウィッチと呼ばれるイギリスの新しいグループのアルバムを発売する。ニュー・ウェイヴを永続的なムーヴメントにするためには、スタートが肝心だ。
それでは。
ブルース・ハリス
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