ニック・ケイヴはオーストラリアのパンク・レジェンズなどであるザ・セインツのクリス・ベイリーが週末に亡くなったことを受けて、長文の追悼文を公開している。
ニック・ケイヴは自身の公式サイトでの質疑応答で「クリス・ベイリーがどんな存在だったか」という質問に答えている。
ニック・ケイヴは1977年に行われたメルボルンにおけるザ・セインツのライヴの写真を公開しており、写真にはニック・ケイヴが観客の中で明らかに唖然としている様子が写っている。写真はリッチモンドのタイガー・ルームでレニー・エリスによって撮影されたものとなっている。
"Nick Cave impressed by Chris Bailey’s performance with The Saints -as well as his ability to gulp his way through a bottle of Johnny Walker during the show- at their first Melbourne gig at The Tiger Room back in 1977, as documented by Rennie Ellis." pic.twitter.com/5dbEcfQKfL
— David Mennessier (@RupertPupkin__) May 21, 2018
「写真の中のクリスは、おそらくオーストラリアが生んだ最も偉大で最もアナーキーなロックンロール・シンガーとしての人生を既に歩んでいる」とニック・ケイヴは述べている。「逆に自分はアート・スクールを中退して、洗脳されたままの不確かな状況で、何がなんだか分からなくなっていた。私の頭の上で別のプランに関する思考のバブルが形成されるのが見えるようだ」
「70年代後半、ザ・セインツはブリスベンからやって来て、そのアナーキーなライヴでシドニーやメルボルンを荒らし回っていた。彼らは誇張のしようがないほど、メルボルンのシーンに危ない活気を与えていた。その伝説的なパフォーマンスは私を含め、多くの人の人生を変えた」
「だから、クリス・ベイリーの死を知って、本当に悲しんでいる。最近は偉大なシンガーの多くが亡くなっているけど、また一人亡くなった。私たちが集団として失ったものの大きさを適切に量る言葉を自分は持っていない。単純に繰り返すことしかできないけれど、自分の見解としてはザ・セインツはオーストラリア最高のバンドであり、クリス・ベイリーは最も好きなシンガーだった」
そのような人生を変えた瞬間に加え、クリス・ベイリーとニック・ケイヴは2013年に発表されたニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーヴスのアルバム『ノクターラマ』に収録の“Bring It On”でコラボレーションも行っている。
クリス・ベイリーはそのままニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーヴスのアメリカ・ツアーにも参加し、『レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン』にも出演を果たしている。また、2009年にはシドニー版のオール・トゥモローズ・パーティーでニック・ケイヴはザ・セインツをブッキングしている。
「クリスと私はお互いのことをよく知るようになって、その後も一緒にたくさんのことをやってきた。でも、この写真こそ大切にしていくものだろう」とニック・ケイヴは締めくくっている。
「酔っ払ったシンガーがステージに座り込み、その存在自体がある種の道徳的な純粋さや本質的な真実に近づいているような、悟りと分岐の瞬間だった。そして、夢中になって見ている若者は、彼の頭の上で思考のバブルが突然とんでもない啓示で満たされ、自分の最善の計画が崩れ落ちるのを感じる。『これがやりたいことだ。これがなりたい人物だ』と」
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