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ハリファックスとカーライルでのウォームアップ・ライヴを経て、ザ・ストーン・ローゼズは6月15日より3年ぶりとなるフル・ライヴを行っている。そして、それは歓喜溢れる祝福の場となった。

音楽業界で最もあり得ないとされてきたカムバック公演の一つを目撃したい人にとっては、2012年から2013年にかけて行われた大規模な再結成ツアーが十分なチャンスだった。イアン・ブラウン、ジョン・スクワイア、マニ、レニが共にステージに立っている光景を見られたのは20年以上ぶりだっただろうか? それだけでも十分感動ものだったのに、今回マンチェスターのエティハド・スタジアムで行われた新たなライヴの目的は何だったのか? ただお金を稼ぐため? いいや、それは違う。

2016年現在でもザ・ストーン・ローゼズは集客という意味では他に負けていない。マンチェスターの路面電車は、期待に胸を膨らませながら“I Wanna Be Adored”をシャウトするファンに占領されることとなった。ザ・ストーン・ローゼズが再びもたらしたものの一つがこの帰属意識だ。

「ピカデリーからエティハド・スタジアム行きのすべての電車の中の、“I Wanna Be Adored”と“Waterfall”の大合唱はすごかった」

メンバーは大騒ぎすることなく、ステージに姿を現した。ミューズのような芝居がかった演出はしない。代わりに、ジョン・スクワイアとマニがステージの両サイドにそれぞれ立ち、レニはまるで自宅のガレージで練習しているかのように見える。彼自身や他の世代にとって最高のドラマーが演奏するのを大勢の観客が見ていることなど気にもしていない(さらに、ジョンス・スクワイアの見事なヘアスタイルには観客からの喝采が飛んでいる)。

「今夜のライヴでのジョン・スクワイアの写真を何枚かアップする。最高のギタリストだ。あぁ、やっぱり彼のテクは素晴らしい」

イアン・ブラウンはどうか? 抜群のフロントマンであることを簡単に忘れさせそうになる彼の気まぐれな声に多くの注目が集まっていた。クラシックなロック・バンド・ギャングにおける完璧なリーダーであるイアン・ブラウンは、あらゆる最高のパフォーマーたちに必要とされる危機感と悪戯心を忘れておらず、ステージ上を駆け抜けていた。そして彼の声はライヴ中もずっと素晴らしく響き渡っていた。

セットリストの最初はもちろん、期待を最高潮に高めてくれる“I Wanna Be Adored”で、これを聴いたファンの中にはたちまち連れの肩によじ登る者がいた。会場があたたまるまでは数曲を要し、“Sally Cinnamon”は少し不安定な感じで歌われたが、久々に披露された“(Song For My) Sugar Spun Sister”から6曲目に入る頃には、イアン・ブラウンの声は彼の動きに合わせて自信に溢れたものとなっていた。

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Connor Prydeさん(@conpryde)が投稿した動画 –

「名曲」

全20曲を披露した100分間のライヴには、さらなるサプライズがあった。「警察官のポーズをした人々たち」に捧げる、と前置きをしてから始めた“Bye Bye Bad Man”はレコードで聴くのと同じくらい野性的なものとなり、“Begging You”はザ・ストーン・ローゼズの曲の中でも最も過小評価されているグルーヴを帯び、マニとレニは満足げな様子で絡み合っていた。セットの終盤では、“All For One”から“Made of Stone”へと、観客の興奮は高まっていった。

#allforone #oneforall 🍋

Rose 🌹さん(@roselol_)が投稿した動画 –

Beautiful

Sam ✌️さん(@samforever98)が投稿した動画 –

21年ぶりとなる新曲“All For One”もライヴでは大成功だった。リリースされて以来、この曲に対するファンの意見は割れていた。しかし、これだけは否定できない。この曲はライヴで間違いなく最高の曲だということだ。この曲のシンプルさが大合唱にはもってこいだし、会場にいるファンが、親指をベルトのバックルに突っ込んで、まるで父親がするようなダンスに耽っているイアン・ブラウンに大声で共鳴できるという美点がある。それから、昔と変わらずバケットハットを被り、バックステージでバンドに会ったデヴィッド・ベッカムに特別に捧げた曲、“This Is The One”が続いた。

Wow I have no words…. Unbelievable night on Manchester with the boys

David Beckhamさん(@davidbeckham)が投稿した動画 –

「わお、言葉もないよ……息子たちとのマンチェスターは信じられない夜だった」

確かに、この日の夜唯一がっかりしたのはバンドがもう一つの新曲“Beautiful Thing”を演奏しなかったことだ。しなやかなジャム・セッションによるあの曲は、“Fools Gold”や予想通りの締めの曲“I Am The Resurrection”と同じくらいの良曲だ。その代わりに、“I Am The Resurrection”の後には、スタジオ・ヴァージョンが流れて、観客を沸かせた。“Don’t Stop”や“Elizabeth My Dear”といったあまり人気のない曲をなぜやったのだろう?

しかし、これは大した不満ではない。ザ・ストーン・ローゼズが5年ぶりに集まったのだから、諍いやギクシャクしたものはとうの昔に消えてしまった。メンバー同士が立て続けにハグをして、ザ・ストーン・ローゼズとしてステージで再び一緒に演奏できることを祝福するのはスパイク・アイランドでのライヴ以来だ。

ニュー・アルバムのリリースについてはいまだに明らかになっていない。確かなことは、これが正真正銘のカムバックということだ。マニが衣装を全身白でキメているのがみっともないというのが最大の関心事であるうちは、ザ・ストーン・ローゼズのことをいまだに全世界が待ち望んでいるということだろう。

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