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アデルの新曲“Hello”のミュージック・ビデオを監督したグザヴィエ・ドランが、この映像に対するアデルのファンの反応に「気が変になる」と述べている。

これまで2014年公開の映画『マミー』などのインディ作品を手掛けてきた26歳のグザヴィエ・ドランだが、彼は今回のビデオでの折りたたみ式携帯電話の使い方をめぐるツイッターでのファンの反応に困惑している。この映像を観た多くのファンが、何故アデルはスマートフォンを持っていないのかと疑問を投げかけている。

「気が変になるね」とグザヴィエ・ドランは米『ロサンゼルス・タイムズ』紙に答えている。「ツイッターのGIF画像が目の前にチラついてる。僕としては『みんな、もういいだろ。大したことじゃない』っていう気分さ。でも、本当のことを言うと、今の電話や車を映像に撮るのは好きじゃないんだ。こういうものはあまりに僕たちの日常に入り込み過ぎていて、これらが映画に出てくるとみんな現実に引き戻されるだろ」

またこう付け加えている。「iPhoneやTOYOTAが映画に出てくると、反物語的な働きをするんだ。物語の外へ観客を出してしまう。僕は、iPhoneとか今の車を映画に入れるとコマーシャルを作っているような気持ちになるんだよ」

グザヴィエ・ドランによれば、このビデオは「非常に非独創的」だという。「歌詞は『こんにちは、私よ』で始まる。その後、誰かの手が電話を取り出す。僕はコンセプトで固めたみたいなビデオをイメージするのが苦手でね。ただ、アデルが家の周りを歩いて電話をかけ、森の中で終わるのがいい。そこに多少のフラッシュバックもアリかなって考えたんだよ」

“Hello”のミュージック・ビデオはこちらから。

“Hello”はアデルの11月20日にリリースされるニュー・アルバム『25』に収録される。“Hello”のミュージック・ビデオはカナダのモントリオールの田園風景で撮影された。

アデルは10月21日にニュー・アルバムについての公開書簡を発表し、ファンに長く待たせてしまったことを謝っている。

書簡の中で、アデルは子供の頃、いつも大人になりたいと思っており、人生におけるその瞬間を楽しまなかったことを悔やんでいると綴っている。自身の新しい音楽については、アデルは次のように記している。「わたしの前のレコード[『21』]は破局(break-up)についてのレコードだった。新作はその意味で名付けないといけないとしたら、つぐない(make-up)のレコードなの。自分自身との関係を修復し、失われた時間を取り戻す。これまでしてきたことと、してこなかったことすべてに対してつぐなっているの。」

書簡の終盤では、アデルは次のように記している。「『25』というアルバムは、気づかない内に自分がどんな人間になっていたかを知るためのアルバムなの。すごく時間がかかってしまってゴメンなさい。でもね、ついに形になる時がきたのよ。」

全文訳は以下の通り。

「7歳の時は8歳になりたかった。8歳の時は12歳になりたかった。12歳を迎えてからは18歳になりたかった。その後は大人になりたいと思わなくなった。それで、今は16歳~24歳の欄にチェックマークを付けて、済んだことにしようとしてる。これまでの人生はずっと、そんなものいらないと思って生きてきた感じがする。いつも大人になりたかった。どこか別の場所に行きたかった。思い出せたらいいのにと願い、忘れたいと願ってた。たくさんの素敵な出来事を、怖かったり退屈だと思ったからって台なしにしなければよかった。常に味気ない人間でなどいたくなかった。ひいおばあちゃんともっと仲良くすればよかった。それに、自分のことをここまで知り尽くしていなければよかった。だって、それって最後にどうなるか先に分かってしまうということだから。髪を切らなければよかった。身長が170センチあればよかった。待てばよかったと思うと同時に、急げばよかったとも思ってる。

わたしの前のレコードは破局(break-up)についてのレコードだった。新作はその意味で名付けないといけないとしたら、つぐない(make-up)のレコードなの。自分自身との関係を修復し、失われた時間を取り戻す。これまでしてきたことと、してこなかったことすべてに対してつぐなっているの。でも、今までみたいに、過去の断片にしがみついている時間はないの。もう過ぎたことだしね。25歳になったことは私にとってターニング・ポイントね。まさに20代のど真ん中でジタバタしてる。かつての思春期と、成熟した大人の境目で揺れながら、私はトラックに山積みの自分の過去というガラクタを手放して、何者でもない自分として生きていくって決めたのよ。いいことも、悪いことも、過去についてのすべてが恋しい。でも、それは取り戻すことができないからというだけ。当時は逃げ出したかったもの! 典型的よね。ティーンエイジャーでいることにどっぷりと浸かっていて、ダラダラしながらどうでもいいおしゃべりをして、将来のことなんて、その時は今みたいに大事なことだと思っていなかったから、全然考えていなかった。何にでも生意気な態度だけは取れたけど、当然そこからは何も生まれなかった。ルールに従ったり、それを破ったりすることのほうが……ルールを作ることよりもマシに思えた。

『25』というアルバムは、気づかない内に自分がどんな人間になっていたかを知るためのアルバムなの。すごく時間がかかってしまってゴメンなさい。でもね、ついに形になる時がきたのよ。
愛をこめて
アデル」

デーモン・アルバーンはアデルと新曲の制作を行ったが、アデルはそれを使わないと思うと語っている。また、デーモン・アルバーンはアデルの新しい楽曲は「すごく一般受け」する作品だと語っている。

アデルの新作はこれまでの報道によれば、トバイアス・ジェッソ・Jr、ワン・リパブリックのライアン・テダー、プロデューサーのデンジャー・マウス、そして 90年代のイン・シンクやブリトニー・ スピアーズ、バックストリート・ボーイズの楽曲を手がけてきた作曲家でありプロデューサーのマックス・マーティンが参加しているとされている。

ソングライターでプロデューサーのエミール・ヘイニーは、2月にアデルのニュー・アルバムについて「ゆっくりと作業している」と語っており、一緒に仕事をする可能性などについても言及していた。「友達として仲良くしていて、2月に会ったのね。何曲か一緒に書けないかと思ったんだけど、彼女はゆっくり作業しているみたいね。何か起こればと思ったんだけど、今は待って見ているしかないわね」

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