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ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーは、インターネットを含めた今のシーンの問題点について語っている。

ナイン・インチ・ネイルズは昨年の12月23日に、2013年発表の『ヘジテーション・マークス』以来となる新たなEP『ノット・ジ・アクチャル・イベンツ』をリリースしている。同作にはデイヴ・グロール、ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロのほか、トレント・レズナーのサイド・プロジェクトのハウ・トゥ・デストロイ・エンジェルズからマリクィーン・マンディグも参加している。

また、音楽を手掛けたマーク・ウォールバーグ出演の『パトリオッツ・デイ』も昨年12月に公開されている。米「ヤフー」に対する最新インタヴューに答えたトレント・レズナーは、かつてのナイン・インチ・ネイルズへの取り組みと、今のナイン・インチ・ネイルズへの取り組みに違う部分はあるかと訊かれて、次のように答えている。

「みんながナイン・インチ・ネイルズを知る前に、できる限り自分に対して正直になることがバンドの進むべき道だと発見したんだ。それは大抵、必ずしも楽しいとは言えない自省と悪魔祓いになるんだけどね。みんなが曲を聴くことになる前に、そうすることで曲が力を持つことを学んだ。感情を抉り出して、それを頭から追い出すことでよりよく感じられる何かへと変貌させるんだ。そうすることで、みんなが曲に反応してくれることが分かったんだよ。だって、そこには真実があるからね。そうした掟っていうのは今でも信じてるんだ。今も、曲を書くために席についたら、今ある自分と同じくらい正直にならなければならないってことを思い出す。そうすることで、これまでのカタログを振り返ってみても、心から当時の自分のベストだと言うことができる。それこそが自分自身にとっての最大の真実なんだよ。挑戦していることは昔とは違うけどね」

トレント・レズナーは次のように続けている。「もう今は昔の自分とは違う。昔ほど恐れなくなった。アルバムの間隔が長かった頃っていうのは、心をさらけ出して、頭の中にあるものを見るのが怖かったんだ。不安定だったんだよね。今は自分の能力にもより自信を持ってるからね。でも、だからって世にこれを出すっていう時に感情を裸にして、それを書いていくっていうことの痛みが和らぐわけじゃない。でも、そこに潜んでいるのは今じゃみんながコメンテーターっていうこともあるよね。インターネットっていうのは、言わずにはいられないことに誰かしら興味を持ってくれるんじゃないかと考える人や自分には言う権利があると思ってる人全員に声を与えることになった。概してそれはアーティストにとって有害とも言える状況を生み出してしまったと思ってる。そして、すごく安全な音楽を生むことになったよね。アーティストは何が好きかも分かりきってるテイストメイカーを喜ばせてる。それってたちの悪いサイクルだし、不健全だと思うよ。今の時代にプリンスのような人は現れないよね。多くの人が型にはまって、ヴィーガンのレストランのパトロンを喜ばせる感じで音楽を作ってるんだよ。それによって、他人が何を言うか、あまりに気を遣う状況を生んでしまってると思う。何も作ったことのない人っていうのは、自分が言う権利を持たないことについても何を言っても大丈夫だろうと思ってるんだ」

先日、ナイン・インチ・ネイルズの正式メンバーとなったアッティカス・ロスとトレント・レズナーは、ベトナム戦争の新たなドキュメンタリー作品のサウンドトラックも手掛けることが明らかになっている。

今年9月に初公開されるというこのドキュメンタリーは10章18時間に及ぶもので、二人は2時間を超えるオリジナル音源を制作する。

新たな音源に加えて、ナイン・インチ・ネイルズの音源や映画『ソーシャル・ネットワーク』、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のサウンドトラックをリメイクした音源が、このドキュメンタリーでは使用される。ヨーヨー・マ、シルク・ロード・アンサンブルも音楽で参加する。

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