Stephanie Pistel / PRESS

Photo: Stephanie Pistel / PRESS

9年ぶりとなる来日公演の前にはF1のシンガポール・グランプリでのパフォーマンスが控え、今年の春にはロラパルーザ・チリへの出演を含む南米ツアーを行うなど、間もなく結成40周年を迎えるデュラン・デュランは、現在進行系で今もワールドワイドの第一線で活躍している。インタヴューの中でメンバーたちも語っているように、日本武道館での東京公演に参加するシックのナイル・ロジャースは、バンドの通算4作目となる『ノトーリアス』のプロデュースを手掛けたことに始まり、最新作の『ペイパー・ゴッズ』のプロデュースにも参加しているなど、「長いキャリアの中でも重要なポイント」で共演してきた盟友である。そんな二組の共演がここ東京で実現するのかと思うと、今から妄想が止まらないというのが正直な所だが、ここにデュラン・デュランによる日本公演のオフィシャル・インタヴューを掲載する。相変わらずオチャメな発言もデュラン・デュランの変わらぬアイデンティティを伝えてくれる。

――9年振りの来日公演がついに決まりましたが、今年は初来日公演から35周年という記念すべき年ですね!

ジョン・テイラー「9年振りだよね。ずっと日本に行きたいと思っていたんだ。この9年は長いよね。それまでは何度も何度も日本に行っていた訳だからさ。初来日から35年というのも感慨深い。初来日の時はクレイジーだったな。日本に降り立った時のことは今でも鮮明に覚えているんだ。僕の人生の中で、最も刺激にあふれた時間だったね。ファンの熱狂振りはすごかったよ」

ニック・ローズ「35年が経ったなんて思えないよ。日本は思い出深い、心に残る国なんだ。何度も何度も日本には行っているけれど、9年も間が空いてしまうとは思わなかった。ワールド・ツアーの最終地が日本であることがとても嬉しいよ」

サイモン・ル・ボン「随分長い間行ってなかったんだね。日本は世界中で一番好きな国なんだ。日本にいるとすごくリラックスできる。僕は日本人が大好きなんだよ。日本人ならではの正直さ、生真面目さのなかに自由を感じるところがね。そして、デュラン・デュランをずっと応援し続けてくれている。だからこそ、そんなファンのために何かができたら、という思いになるんだ。9月に行った時には、そんなファンと僕たちとの思いを再確認したいと思っているよ。日本は文化的にもアーティスティックな面でも素晴らしい国だと思っているんだ。81年に初めて日本でライヴをした時に、ファンの熱狂的で献身的なサポートを経験しているし、音楽メディアの男性とのインタヴューでも、日本における洋楽シーンの重要性を感じることができた。自分たちはただのアイドルじゃなくて、音楽的にも受け入れてくれる国があるんだ、と思わせてくれたのが日本だったんだ」

――『ペイパー・ゴッズ』のツアーは2年間続いていますが、世界何ヶ所ぐらいを回ってきたツアーなのでしょうか?

ジョン・テイラー「2年間といっても毎日毎日じゃないけどね。一体世界何ヶ所を回ったんだろう。覚えてないな。アメリカは何度も行ったし、南米のロラパルーザ・ツアーもあった。UKにヨーロッパも何度も行ったね。そして、アジアは今回が初めてなんだ」

――そういえば、初めてハワイでの公演もやりましたね。どうでしたか? マーク・ロンソンも来たとか。

ロジャー・テイラー「実際には僕たちのコンサートに来たわけではなくて、彼もハワイでコンサートがあったんだよ。マークとは過去に一緒にライヴをやったことがあるけれど、僕たちのコンサートの日は、彼がハワイを離れる日でね。だから、ステージには参加していないんだ。でもオフの時間に会えたよ。初のハワイ公演は素晴らしかったね」

――今回は日本武道館でのコンサートということで、思い入れもあるかと思います。

ロジャー・テイラー「たくさんの思い出が詰まっている会場だよ。再結成ツアーの時も武道館だった。僕たちが好きなアーティストもみんな武道館でプレイしているしね。『ペイパー・ゴッズ』のワールド・ツアーのラストを、武道館で迎えられるのはとても嬉しいよ」

ニック・ローズ「2003年の再結成ツアー以来の場所なので、とても楽しみにしているよ。もちろん大阪公演もね!」

サイモン・ル・ボン「とにかくライティングも豪華になっているので、歌って踊って楽しんで欲しいね」

ジョン・テイラー「ワールド・ツアーのラストだし、自分たちにとっても大事なショウになるから、力を出し切りたいと思っているよ。シックもスペシャル・ゲストで参加してくれるからね。アメリカでも一緒にやっていたけど、僕はナイル(・ロジャース)の大ファンだから、彼らとプレイできるのは本当に嬉しいんだ。今年のベスト・ショウになることは間違いないね」

――デュラン・デュランにとってナイル・ロジャースはどんな存在ですか?

ニック・ローズ「武道館の公演にシックを迎えるのは本当に嬉しい。彼はデュラン・デュランの長いキャリアの中でも重要なポイントのときに参加してくれているからね。83年の“The Reflex”や“Wild Boys”、アルバム『ノトーリアス』に、最新アルバム『ペイパー・ゴッズ』の“Pressure Off”にも参加しているからね」

ロジャー・テイラー「彼は僕たちのヒーローだよ。1979年にジョンの家に行った時に、彼が持っていたレコード・コレクションの中にシックのレコードがあってね。『これは聴いた方がいい』って薦められて一緒に聴いたんだ。シックを聴いて、『こういうサウンドをやってみたいね。やってみよう』という気持ちになったんだ。これにエレクトロニックだったりロックな要素をミックスさせて、それを元に自分たちのサウンドを作らないかということを話し合ったんだ。まさしく、僕たちのインスピレーションになったグループさ。たくさんの刺激をもらったし、リスペクトしているよ。そんな彼らが武道館のステージにスペシャル・ゲストとして参加してくれることは本当に光栄だよ」

――1979年の話は初めて聞きました。

ロジャー・テイラー「僕がバンドに入った年だった。デュラン・デュランは様々なバンドから影響を受けたわけだけど、最もインスピレーションを受けたのはシックのリズム感なんだ」

――再結成してからもう16年になるわけですが、ロジャーにとって再結成後の活動はどうですか?

ロジャー・テイラー「本当に素晴らしい16年間だったね。80年代に活動していた時期よりも充実していると感じるよ。アーティストとしても、一人の人間としても自由があって、80年代に体験した出来事はそれは一つのいい経験ではあったけど、今ではツアー中に時間があって地下鉄に乗っても騒がれることがないわけでね。80年代に経験した東京での出来事は忘れられないよ。ホテルから一歩も出ることができずにいて、僕たちが行くあらゆる場所にファンたちがタクシーで駆けつけるんだ。20台近くいたかもね。嬉しい体験ではあったけど、今の方が落ち着いて創作活動やライヴ活動ができているし、音楽に集中することができているよ」

――ロンドンのO2アリーナでの公演を観ましたが、『ペイパー・ゴッズ』のアルバムからの楽曲と、これまでのヒットが織り交ぜられた、ひとつの綺麗な流れの中でセットリストが組まれていて感動しました。セットリストを決めるにあたってのポイントは何ですか? また新旧となる“Planet Earth”から“Pressure Off”の流れは素晴らしかったです!

ジョン・テイラー「セットリストを決めるのはかなり大変な作業だったよ。かなりこだわっていてね。ファンは昔のヒット曲を聴きたいという思いがあるだろうから。でも、僕たちには、新作からの曲もファンに楽しんでもらいたいという思いもあるわけでね。だから、いかにミックスさせるかがポイントだったんだ。セットリストを決めるのはこの仕事の面白い部分でもある。選曲を変えて、そしてそれがはまった時に手応えを覚えるんだ。“Planet Earth”から“Pressure Off”の流れのように、曲を対比させたりしながら、いろいろ考えてセットリストを組んでいくんだ」

ニック・ローズ「ロンドン公演は今回のツアーの最初の頃だったから、約2年前になるね。あれからセットリストも変わっているんだけど、日本では最初の頃のライヴに近くなるかもしれないな。過去の曲をたくさんやりながらも、最新曲を織り交ぜていくセットリストにしたい。ファンのみなさんに自分たちがこれまで作り上げてきたものを楽しんでもらいたいし、新作も同時に楽しんでもらいたいんだ。個人的には、“The Reflex”よりも“Planet Earth”かな。“The Reflex”は最近の日本公演でもよくやっているから」

――いえ、2曲ともやってください。

ニック・ローズ「考えておくよ(笑)」

――アンコールはいつも“Rio”ですが、この曲への思いは?

ジョン・テイラー「ネタバレは困るよ(笑)。“Rio”はとても盛り上がる曲だからね。デュラン・デュランを象徴している1曲だし、すべてのシングル曲に当てはまるかもしれないけれど、多くの人たちに愛されている曲だからね。最後は大合唱になって、なかなかこの曲の後に他の曲をもってくるのが難しいんだ」

――『ペイパー・ゴッズ』のリリースから2年になりますが、このアルバムはジョンにとってどんな作品となりましたか?

ジョン・テイラー「今聴いてもワクワクする曲があるよ。アルバムを作るのは本当に時間がかかるし、完成した時にはそれまでの苦労が甦ってしまうから、正直冷静に聴けなくなって距離を置きたくなってしまうんだけどね。時間が経って改めて聴くと、本当にいい曲がたくさんあるなって思えるし、ライヴでやっている曲は特にライヴ映えして、やりがいを感じるんだ。このバンドにとってこの作品は恵みだったのではないかなと思うよ。神様から、今の時代ならではの新しい音を作り上げていくっていうグループとしての存在意義を与えられたと思っているよ」

――来年からの数年間は、結成から40周年に始まり、アニヴァーサリー・イヤーが続くかと思いますが、次のチャレンジは?

ジョン・テイラー「そうだね、来年にはスタジオに戻ってまた新しい作品を作りたいと思っているよ。スタジオに戻るのはいつもチャレンジだね。ニックとはミュージカルの作品も作るんだ。舞台化になるかどうかまだ詳しくは言えないんだけどね。オーケストラのプロジェクトに映画だったり、様々なプロジェクトを予定しているよ。本の出版もあるし、どれが形になるかは分からないけどね。僕たちはお互いをリスペクトし合っているし、一緒にものを作っていくことを大切に思っているんだ。だから作品を作り続けていくことが何よりのチャレンジだと思ってるよ」

ニック・ローズ「来年の40周年は、1978年にジョンと僕がバンドを結成した年だ。79年はロジャーが加入して、初めてライヴをやった年。スティーヴン・ダフィーがヴォーカルだった時代だね。80年はサイモンが加入して5人のラインナップが揃い、最初のライヴをやった年。だから、実際には2020年が公式のデビュー・アニヴァーサリー・イヤーになるんだ」

――そうなると来年の40周年はニックだけのお祝い? ジョンはちょっと抜けた時期があったから。

ニック・ローズ「(笑)。ジョンにはもう数年残っているということかな? いや、学校を卒業して、ジョンと一緒にバンドを結成したからね。来年はジョンとチョコレート・ムースケーキをたべながら一緒にお祝いすることにするよ」

――バンドとして長く一緒にやってこれた秘訣は?

サイモン・ル・ボン「まずは僕たちが友人であるということだね。そして僕ら一人一人のエゴが、バンドとして創作活動をすることでうまく溶け合っていくんだ。一人よりも四人で作ってこそ最高のものが生まれることを、みんなが分かっているんだよ。そして忍耐も知っているし、思いやりもあるし、よく笑ってる。楽しいんだよね。いい音楽を作り続けているということも大きいよ。いい音楽を作れなかったら続けて来れなかったと思うからね。いい作品をしっかり残せていることが秘訣と言えるかな」

――昔と変わらないルックスについては?

サイモン・ル・ボン「重要なのは、ダイエットすることだね(笑)。気を抜くと太ってしまうから。ありがたいことに、幸いにもまだ髪もある。年は重ねているけれど、実際いい年の取り方をしているんじゃないかな。肉体を使うことを強いられる仕事でもあるから日々注意しているよ。ステージに上がった時には、運動をしているようなものだからね。ロジャーのドラミングも体力を必要とするし、ニックもずっと立っているし、僕やジョンは飛び跳ねているし、ライヴは肉体的な表現が必要とされるからね。それを理解しているから、意識も変わってくるんだ。食べ物には注意をしているし、ジャンクフードは食べないようにしているよ。自分にあった食べ物を探して、健康を保たないといけないからね」

――9年振りの日本で、コンサート以外に楽しみにしていることは何ですか?

ロジャー・テイラー「散歩をしたいね。東京の素晴らしい雰囲気を肌で感じたいんだ。日本食が好きだから、それも楽しみにしているんだ」

ニック・ローズ「日本の写真が好きだから写真集を探したり、ギャラリーに行ったり、建築デザインが大好きだから、散歩しながらそういったものを探して楽しみたいかな。今流行しているものにも出会いたいね」

サイモン・ル・ボン「日本食を楽しみにしているよ。何でも食べるつもりさ。刺身に漬物に白ご飯、スクリーム・チキンも楽しみだね」

ジョン・テイラー「六本木の青山ブックセンターだね!」

インタヴュー:今泉圭姫子

来日公演詳細

9月20日(水)東京・日本武道館
CHIC feat. ナイル・ロジャース
開場 17:30 / 開演 18:30(予定)
料⾦(全席指定・税込):SS席(特典付)25,500円 S席 16,500円 A席 14,500円 B席 12,500円

9月22日(金)大阪・オリックス劇場
開場 18:00 / 開演 19:00(予定)
料⾦(全席指定・税込):SS席(特典付)20,500円 S席 14,500円 A席 12,500円

更なる公演の詳細は以下のサイトで御確認ください。

http://duranduran-japantour.com/

Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.

関連タグ