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ブラーのドラマーで、元労働党候補かつ政治活動家のデイヴ・ロウントゥリーは、5月22日に東ロンドンのブリック・レーンにあるトゥルーマン・ビール醸造所でチケット入場制のトランクセールを開催した。「スターのトランクセール」と称し、著名人も何人か招待して使わなくなったアイテムを販売した。その売上金は内戦を逃れてヨルダンへ避難したシリアの人々を救済するために使われる予定となっている。『NME』はデイヴ・ロウントゥリーに電話インタヴューを行い、労働党の話やブラーの今後、そして今回の「トランクセール」について話を聞いた。

オークションにはどんなものが出品されたのですか?

基本的には、ミュージシャンや俳優、コメディアン、モデル、テレビ司会者たちに屋根裏に眠っている不用品を寄付してもらって、トランクセールをやったんだ。当日はセレブの何人かも現場で商品を安売りしてくれたりしてね。

素晴らしいですね。実際、どんなものが出品され、どんな人たちがやってきたのでしょうか?

みんながくまなく探し出してくれた思い出の品が数多く出品してくれたね。すべての商品に元の所有者、どういう品物なのか、なぜ売りに出されたかを書いたタグを付けたんだ。コールドプレイは側面に大きなホーンが付いた蓄音機を提供してくれたし、パロマ・フェイスは正面に「PF」と書かれたピンク色の靴を出してくれたよ。僕は(ブラーのアルバム)『ザ・グレイト・エスケープ』のサイン入りのゴールドディスクを出品する。ラッセル・ブランドは服を数箱分送ってくれた。メラニー・C、KTタンストール、バッドリー・ドローン・ボーイ、フィル・ダニエルズなんかが現地に来てくれたんだ。それにゼブラ・ワンのアーティストはアート作品を販売したよ。

コールドプレイが提供した蓄音機

Photo: コールドプレイが提供した蓄音機

トランクセールのアイデアは一体どこから生まれたのですか?

グレアム(・コクソン、ブラーのギタリスト)と僕は最近それぞれ引っ越しをしたんだけど、引っ越す度に開かずの箱が増えていくって二人で笑ってたんだ。二人とも今じゃ倉庫いっぱいに開かずの箱を持ってるって話になってさ。もし必要があったならば、すでに箱を開けているはずだから、どう考えても必要のない物なのさ。だったら処分すべきだと思ってね!

どうしてこの活動を?

去年、難民危機のニュースが溢れかえっていたのが始まりだよ。ビーチに打ち上げられたシリア難民の子どもの写真があっただろ? それを見て無力感を覚えた。みんなも誰かが何かをしなければいけないと言っていたけど、何をすべきか具体的ではなかった。政府がこのことを真剣に捉えているとも思えなかった。それで昔からの友人で、大規模かつ地理的に手広く展開している慈善団体の1つ、国際救済委員会を運営しているデイヴ・ミリバンドに連絡を取ってこう話したんだ。「もし僕がお金を集めたら、それで何かしてくれるかい?」って。そしたらデイヴは「もちろん」と答えてくれた。それで、去年はイーベイ(eBay)でオークションを開催して70,000ポンド(約1,124万円)を売り上げた。そして、僕は数カ月前にヨルダンへ行って、その売上金がどう使われるかを実際に見てきたんだ。

ヨルダンで売上金はどのように使われていたのですか?

僕たちはヨルダンにある、アズラクとザータリという2つの大きな難民キャンプを訪れた。売上金はどちらのキャンプでも、親のいない子どもたちを助ける活動のために使われていた。戦火の中で家から逃げる時の混乱のせいで親とはぐれてしまった子どもたちが多かったね。親が殺されてしまって難民となる子も多かった。うまくいけば、この活動で子どもたちを親と再会させることができる。探偵ゲームみたいなものさ。だって親たちは何マイルも離れたところにいる可能性だってあるんだから。

デイヴの提供するゴールド・ディスク

Photo: デイヴの提供するゴールド・ディスク

そこで見た光景に驚きましたか?

おかしなことに、普段テレビで見ていることっていうのは僕たちがこうあるべきだと期待していることに沿うように変換されているんだ。ヨルダンの実態はテレビで見た難民キャンプの映像とはかけ離れていたよ。こういった災害の映像の使い方は1980年代に始まったんだ。アフリカで食糧不足が起きた時にね。僕からすれば、ヨーロッパの取材班がこういった危機に瀕した現場に行くと――おそらく無意識的に――彼らの期待に沿うようなシーンに目を向けてしまう。靴を履いていない子どもや泥の中を足を引きずって歩く子どもなんかをね。そういう光景も確かにあるんだけど、難民キャンプがすべてそうだということではない。だいたい、そこにいるティーンエイジャーや若者は何とかやっているんだ。泣きながら座っているわけじゃない。その場所で何かを新たに作ろうと努力しているんだ。空き缶や泥から町を作り出そうとしているのさ。

多くの希望が見えましたか?

ああ。難民キャンプは、見渡す限り多くはキラキラした明るい銀色の小屋でできている。中央には大きな道があって、その道はオックスフォード・ストリートとかシャンゼリゼと呼ばれている。それに、ずっと続くこの通り沿いに立っている小屋もあって、両脇には店が並んでいる。オランダ政府が大量の自転車を寄付してくれたから、みんな自転車で行き来しているんだ。

国内の話に戻りますが、労働党候補のサディク・カーン氏がロンドン市長に選出されました。あなたは過去に労働党のメンバーとして活動を行っていましたが、彼の成功をどのように感じていますか?

ちょっと労働党の帽子をかぶらせてくれよ――これから言うことはブラーの立場で発言しているものじゃないからね。僕は誰の立場でも発言しないんだ――彼が勝利して非常に嬉しく思うよ。サディクのことは知ってるんだ。労働党で選挙活動をしていた時からの弁護士仲間で、僕がリーガルエイドに対する予算の削減に反対する活動をしていた時に手助けしてくれたんだ。

デヴィッド・ウォリアムズの提供品

Photo: デヴィッド・ウォリアムズの提供品

彼は前任のボリス・ジョンソンよりもマシな市長になりますか?

僕はボリスが何を成し遂げたか知らないよ! これまで4年間ものあいだ、「そうだ、ボリスはあれをした」って言うことすらできなかった。彼は『ボリス・バイク』すらできてない。あれもその前の市長のケン(・リヴィングストン)が打ち出したアイデアだ。ボリスは保守党の党首になりたいがためにやり切ったのさ。

将来に関して、ブラーの今後の予定は?

それは素晴らしい質問だね。僕もその答えが知りたいよ。去年は僕たち全員ビックリしたからね。アルバム(去年発売された素晴らしき『ザ・マジック・ウィップ』)を作ったら、その出来栄えが良すぎて、個人個人の去年の計画は見送って、バンドに戻ってツアーをしてアルバムのプロモーションをするしかなかった。だから、それぞれの計画は今年まで延期になっていたんだ。今年の終わりにはメンバー全員がよく考えて、次に何をするか決めるつもりだよ。

ザ・リバティーンズの紅茶でよき一杯を

Photo: ザ・リバティーンズの紅茶でよき一杯を

グレアム・コクソンは『ガーディアン』紙のインタヴューで、『ザ・マジック・ウィップ』がブラー最後のアルバムになるだろうと言っていました。あなたの考えは?

可能性がないとは言えないね。でも、もしあれで最後だったとしたらちゃんと公表するよ――各メンバーが気づかれないところで発表したりはしないと思う。問題は、違う日にバンドの他のメンバーに話したら、別の答えが返ってくるということだ。最近の僕たちはバントとして、将来の長期的なプランを持っているわけではないからね。

それは昔とは違うということですか?

ああ。ブラーの歴史上には次の5年間の道筋が細かく計画されていた時期もあった。僕が思うに、それが活動を休止した原因の1つだ。そういうプレッシャーは非常に大きいんだよ。日常的な生活を送れずに、誰もがブラーでいることを毛嫌いしていたあの頃に戻りたいと思うメンバーはいないよ。最近じゃ、誰かがおもしろいアイデアを思いつくと、みんな集まって話を聞くんだ。それでここ数年間はうまくいってた。僕たちは次のおもしろいアイデアを待っているのさ。そんな自由があるって最高じゃないかい?

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